読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

尻尾のない日記

イヌグラファーの日常

食器と市場 / 知らないバス

f:id:inu_grapher:20170319064023j:plain

母が食器を買いたいと言うので知っているお店に行くことにした。オートーコー市場の向かい辺りにあるお店で、くまの遺骨を納めるのにベンヂャロン焼きを買い求めたお店だ。あのとき、私はお寺で火葬してもらい布に包んで渡されたくまの遺骨を1年以上そのままで持っていた。そのままにしておきたい気分だった。理由はわからない。1年以上して、そろそろ何かに納めてやろうかと、当時近所だったそのお店に出かけていき、犬の骨をしまっておくのだと言ってお店のおばさんと一緒に選んだ。そんなことを思い出しながらお店のあった場所へ行くとそこには何もなく、移転してしまったのかなと思いながら道を少し戻るとそこに「ベンヂャロン焼き」の看板が出ていた。お店にはおばさんが1人いたけれど、あのときのおばさんかどうかはもう覚えていなかった。ベンヂャロン焼きだけでなく、青白のパイナップル柄の食器や、セラドン焼きも少しある。眺めていると、くまの遺骨が納まっているのと同じベンヂャロン焼きがあった。一瞬、ギーの入るのも今買っておいてやろうかと思ったけれど、縁起の悪いことだと思って止めておいた。母はそこでいくつか食器を買った。向かいにあるオートーコー市場は、私は中に入って見物したことがただの一度もなかった。運河の渡し船に乗るために中を通り抜けたことしかなかった。すぐ裏に10年も住んでいたというのに。よいものがよい値段で売られているつまらない高級市場と思い込んでいた。初めて見て回ったけれど、高くてよいものも扱っているというだけで、安いものもあったし、興味を惹くものもたくさんあった。少し変わったものもあったりしておもしろかった。

 

f:id:inu_grapher:20170319064116j:plain

バスに乗り間違えた。乗り間違えたというよりも、そもそもよく知らないバスに行き先だけを見て乗り込んだ。バス停で待つのが億劫になるとたまにやってしまう。まっすぐ行くと思っていたバスは途中で曲がりどんどん北上していく。それでも、行き先はわかっていたから遠回りでものんびり行けばいいと思った。普段通らない道を通って見慣れない景色を眺めるのは、見慣れていないというだけで特別おもしろいものがあるわけでもないのにおもしろかった。せっかくそうしてコツコツと遠回りをしていたのに、車掌にこのバスは終点まで行かないと言われて途中で降ろされてしまった。降ろされたところからすぐにまたよく知らない路線のバスに当てずっぽうで乗り、それでもちゃんと目的の場所へ辿り着いた。着いたときにはもう暗くなっていた。

 

2017年2月7日(火)